SCHUTZENGEL ~守護天使~
*悪夢
魔物たちはデイトリアの強さを認識したのか、あれから姿を現さない。
諦めた訳ではないだろうが、なんだか不気味でさえある。
そして、勇介が気付いた事が一つある。
もしかすると、彼は食べなくてもいいんじゃないだろうか。
食事でおかわりをしたのを見た事がなく、必ず勇介よりも量が少ない。
気付いた事が不思議なほどに自然に振る舞っていた。
勇介はそれを彼に尋ねる事を躊躇った。
その疑問が真実なら、ますますデイトリアが遠い存在に思えてしまう。
そう思える事が、どうしてそんなに怖いのかは解らない。
かつては勇介と同じ、人間の心と肉体を持っていたはずのデイトリアを、もとより人じゃないエルミよりも遠く感じてしまう。