SCHUTZENGEL ~守護天使~
 久住はパスワードと思われる数字をいくつか打ち込み、エレベータが動くのを待った。

 すると、狭い空間は音もなく下に向かって降りていく。

 表示のない地下に降りたエレベータは先ほどと同じく音もなく止まり、静かに扉が開くと真っ直ぐに伸びた殺風景な廊下が姿を現す。

 突き当たりを左に曲がり、さらに突き当たりを左に曲がるとそこには再びテンキーと今度は網膜チェックが二人を迎えた。

 それらを済ませてようやくドアは開く──

 その空間は無骨なビルの外見とは異なり、中世を思わせるような造りになっていた。

 さして大きくはない部屋の中央には、やはり大理石の円卓がある。

「よく来てくれたね、デイトリアス・バーン」

 キャステルは丁寧に発し、空いている隣の席にデイトリアを促す。

 組織の代表者たちはすでに席に着席していた。
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