SCHUTZENGEL ~守護天使~
「勇介か」

 さしたる感情もなく背後の気配に応えた。

「ガデスだよ、デイ」

「え!? こいつが?」

 以前に会った立木勇介とはまるきり違う雰囲気に目を丸くした。

 それと同時に、背筋にヒヤリと冷たいものが走る。

 明らかに幻影であるのに、そこからでさえ伝わる強大なパワーに息を呑む。こいつはこんなに優雅だっただろうか。

「君たちの話し合いはまとまったかい?」

「なんだと?」

「いきなり攻撃を仕掛けちゃ不公平だろう? 猶予を与えてやったんじゃないか」

「てめぇ何様のつもりだ!? 俺たちを見下して偉そうにしてんじゃねえよ」

 やたらと気に障る物言いに久住の顔が怒りで歪んだ。

「久住、挑発に乗るな」

 デイトリアはやや厳しい口調で制止した。

 幻影相手に怒ったところで意味がない。

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