SCHUTZENGEL ~守護天使~
「それが可能ならばやるといい」

 その物言いは魔王の命令に云々という意味ではなく、勝ち負けに対するものだと明らかに示していた。

 仮にも魔王の代理を長年務めてきた自分になんたる事をと奥歯を噛みしめたが、乗せられるなと深呼吸して平静を取り戻す。

「魔王は近々、侵攻する。お前との交渉も続けていくだろう。もし数百人の命と引き替えだと言われたらお前はどうする」

「なんだと?」

 苦い顔をしたデイトリアにニヤリと笑んでかき消えた。






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