SCHUTZENGEL ~守護天使~
 デイトリアは魔王が求めている事もあってまだ生きる望みがあるだろう。

 しかし久住に慈悲はない。

 これだけの数に対抗できる訳もない自分は何匹の魔物を道連れに出来るのかと体を強ばらせた。

「動くな」

「え?」

 身構える久住の横で、デイトリアは何か呪文のようなものをつぶやいた。

 ヘブライ語のようにも思えるが久住にはそれが何の言葉なのか見当が付かない。

[ガァッ!]

 一匹目の魔物がデイトリアに爪を立てる瞬間──地面が大きく裂け、まるで巨大な怪物に飲み込まれるように大勢の魔物たちが地面に食われた。

 魔物を食い尽くした大地は満足すると、何事もなかったかのように口を開けた時と同じく勢いよく裂け目が閉じる。

「うそでしょ」

 マリレーヌは目の前で起こった光景を信じられず呆然とした。
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