SCHUTZENGEL ~守護天使~
──魔王に報告を終えた三人は靴音を響かせて赤い絨毯の敷かれた回廊を歩く。
「なんなのよあの態度! 今まで散々私たちを怖がっていたくせに!」
マリレーヌはヒステリックに叫んだ。
それを、いつのもようにファリスが軽くあしらう。
「そりゃそうだろう。魔王になれば自身の持つ力がどれ程のものか理解する。いいじゃないか、魔王らしくて」
しかし、マリレーヌは自分が叱られたためか不満そうに顔を歪ませる。
「そうだね、僕は好きだよ。魔王は尊大でなくちゃね。気弱な魔王に誰がついていくものか」
仲間が叱られはしたが、堂々としている様子は褒めるべきものだ。
そうでなければ、人間に恐怖を与える言葉を見つけられない。