SCHUTZENGEL ~守護天使~
「うん、確かにあいつと戦うには、まとまらないといけないね」

 深々と突き刺した腕をファリスから引き抜き、どす黒い血に染まった腕を見ながら無表情に言い放つ。

 マリレーヌは冷ややかにその光景を見つめていた。

「僕とマリレーヌでやるよ。君はちょっと口うるさくて前から気に入らなかった」

「ば、ばかな。こんな時に魔物の本性を出してどうする。貴様は間違って──」

 ファリスは言い終えることなく赤い絨毯の敷かれた床に崩れ落ち、目を見開いたまま事切れた。

 マリレーヌはかつての仲間だった魔物の死体をガラスのような目で見下ろす。

「行くぞ」

 何事もなかったように発した少年の背中を追い、一度だけファリスの死体に振り返った。
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