SCHUTZENGEL ~守護天使~
「あなたは人間について知りすぎたのよ。もしかしたら、人間に近くなっていたのかもしれないわね」

 だから、ギルの動きにも対応出来なかった。

 あなた、面白かったけれどさよなら──靴音だけがファリスの死を惜しむように冷たい廊下に響いた。





 ──キャステルは荒廃した街を見渡す。

「皮肉なものだ」

「え?」

 隣にいた久住は彼のつぶやきを聞き返し、伏せた視線に返事を待った。

「人間はようやく、初めて一つとなったのだ。影の世界があることを隠していた我々が愚かだったのだろうかと思わずにはいられない」

 恐怖をかき立てる世界がある事を知らずにいる事は、力なき者たちを守るものだと信じていた。

 しかし、その恐怖が存在する事は人類を一つにまとめるものだったのかもしれない。
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