SCHUTZENGEL ~守護天使~
 それを聞いた勇介は、

「ああ……。やっぱりそうだったのか」と目を閉じる。

 善なる者には幸福を、悪なるものには裁きの剣を振り下ろす──人の善悪を判断し、示現する裁きの神。

「貴方には、感謝しなければなりませんね」

 キャステルは勇介の前にひざまづき、愁いを帯びた瞳を落とす。

 そこへ、

「デイトリア」

 聞き慣れた声に振り向くと、黒髪の男がそこにいた。

「アレックか」

 懐かしむように名を呼び、アレキサンダーの後ろでバツの悪そうにしているエルミを一瞥した。

「あの姿は──まさか」

 キャステルは初めて見る男に目を見開いた。

 それはまさしく、百年前に現れたという影の姿そのものだった。

 エルミは力なく歩み寄り、勇介をじっと見つめて膝を突く。
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