SCHUTZENGEL ~守護天使~
「おまえには何百年も愛し続けている男がいたか、実に惜しい。同じ力を持ちながら貴様は我々の敵となる」

 つぶやくように発した男の瞳は冷酷にエルミを見据えていた。

 二人の間には勇介になど計り知れぬ怨恨があるようだった。

 王の代理、それだけで強いのだと解る。

 そうだ、考えてみれば敵であるエルミを魔物たちがうとましく思わないはずがない。

 以前、一度に大勢来られたら危ないと言っていた。

 今までにそんな状況になったことはなかったのだろうか?

 そんな勇介の考えをうち消すように、ルーインが沈黙を破った。

「人間よ、力を手に入れ共に全てを支配しようじゃないか。その時までおまえの座すべき場所を守っていよう。待っている」

 重苦しい気配は消え勇介は未だ微かに震える手を隠すように押さえた。




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