SCHUTZENGEL ~守護天使~
「自分のような人間が魔王なんてなれるわけがないなんてこと思っている?」

「う、うう」

 ぐうの音も出ない、まさにその通りだ。

 自分はそこらへんにいる、何の変哲もないただの人間だよ。

 なのに、いきなり魔王になれるなんて言われたって、そりゃあ信じられる訳がないじゃないか。

「わかってるわ、幸せに生きていたのに別の世界を見せられても馴染めるはずがない」

 彼女の言葉に勇介は少し変な感じを受けた。

「幸せ? さあ、どうかな。毎日同じような生活で幸せといえばそうかもしれないけど、恋人にはフラれたし俺としてはそういう実感は湧かないな」

 その言葉にエルミはやや憂いを浮かべて、しかし柔らかに笑みを作る。
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