SCHUTZENGEL ~守護天使~
 あの表情を思い出すたびにデイの敵ではなくてよかったと思う。

 なんていうのか、あれは不思議な感覚だ。

 全てから見放されたような絶望感──あの顔がもし自分に向けられていたら絶望する。デイに見捨てられたくない。

 まるで、天使と死神が表裏一体であるように思えた。

 俺が魔王になったらデイの敵になる?

 彼に勝てるだけの力なんて手に入るのだろうか。

 今まで生きて来て、そんなものの類に触れたことの無い俺には身近にいるデイがとても強く思える。

 あれがデイの全力な訳が無い。

 俺一人が加わったところで、魔物の戦力になるんだろうか。

「魔王ってそんなに大事なのか? 俺には奴らが期待するような力は無いと思うんだけど」

 そうだよ、俺にあんな力があるはずがない。
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