副会長の秘密
教室に着くと、いつもと変わらない雰囲気に、
密かにほっと胸を撫で下ろしていると
「キャーーー!!アオイくん、京甫く〜ん♡」
『キャーっ、おはようございます!京甫様』
「こっち向いてぇ~!アオイく~んっ」
……なんて黄色い声が、聞こえてきた。
まあ、いつものことだから、別に気にしないけど……。
そんな、黄色い声が聞こえた途端、クラスのほとんどの女子は、習慣の様に窓際に走っていく。
もちろん、昨日の私だったらみなちゃんと一緒に走って見に行ってたのかもしれないけど…、
昨日の副会長のことがあるとね…。
さすがに副会長とは会いたくないのが、本音で………。
いつものように走っていく、みなちゃんの背中を見ていた。
「……みなちゃんも相変わらずだなあ…」
頬杖をしながら、みなちゃんを見つめていると、急に後ろから、歓声とは別で声が聞こえた。
「…あ!いたいた!!水野~」
ドカッと、後ろの席に倒れ込むように来たのは、昨日逃げ出した犯人、山瀬辰巳(ヤマセタツミ)くんがいた。