副会長の秘密
…なんか、嫌な予感がする…。
「じゃあさ、そんなにヤバいんだったら…場所変えようっか?
…うん、そうした方が水野ちゃんも話しやすいと思うし♪」
「…え、ちょっと待っ、…っ!?」
一人で自問自答して満足げにほほ笑むと、副会長はグイっと私の腕を引っ張り、自分の方へと引き寄せた。
一瞬の出来事だったから、私も訳が分からないまま副会長の胸に飛び込んで、硬直状態だ。
や、ヤバイよおおぉ。
だって一気に副会長の声が近くなって、話すたびに吐息が髪にかかる、そんな近い距離になるなんて………
わ、私…………!!
ふんわりと甘い香りがする腕の中で、思わず叫びそうになるのを、捕まっていない片方の手で口を抑えた。
なんとか叫ぶのは阻止できたけど、密着しているせいか、私はもう……
…呼吸すら出来そうにない。(泣)
「…は、…離してくっ、…きゃっ」
反論する暇もないまま、副会長は私の方を見てニコリと笑うと、
急にキスが出来るんじゃないかってくらい顔を近づけて、『んじゃまぁ、交渉成立ってことで』って呟くと私の身体を軽々と持ち上げた。
「よしっ…では、行きますかー。あ、水野ちゃんちょっと我慢しててねー」
フワリと持ち上げられた後そう言って、向きを変えると教室とは逆方向に走り出した。
まさか、副会長に抱きかかえられるなんて思ってもないからショック過ぎて涙がでそうになる。
「…教室に早く帰りたい……」
ぼそりと小さく呟くけど副会長には聞こえてないらしく、
すぐに副会長の息遣いと足音が聞こえてきた。