副会長の秘密



☆★



「あ…あの、降ろしてもらえませんか…。もう逃げないので…」



あれから何分か経って、副会長に抱きかかえられる状態で生徒会室がある旧校舎まで来たけど、副会長は走っているせいかあれから一言も口を開いていない。



……でも、………そろそろ本当に。



色んな意味で私も限界に近くて、今なら!と思って思い切って話しかけてみたんだけど、



「…っ、はあ、まだそんなこと言ってるの?頑張るねぇ」


と、呆れたように笑うだけで、一向に降ろす気配を見せない。



まあ、降ろしてくれないっていうのは分かっていたけど、そこまで馬鹿にしなくても…!



そんな副会長の態度に、ほんとに降ろしてくれないんだと、ガックリと項垂れる私。



だけど、階段に差しかかり、一定のリズムで階段を登っていく副会長がポツリと呟やいた。



「まあ、どうしてもっていうなら降ろしてあげてもいいけど」



…え!?



「だけどほら……、もう…着いちゃったし?」



パッと顔を上げるのもつかの間。


そう言われて前を見ると、階段を上がったすぐそこには、二度と見ないと思っていた生徒会室と書かれた扉があった。




「…今のわざとですよね」


くそう。
もう、ほんと泣きそうなんだけど…。



「あははっ、ほんと水野ちゃんは人を信じ過ぎだよねー。
…まあ、あと少しだからさ大人しくしててよねっ……と」



楽しそうに笑いながらそう言いうと、器用に私を抱きかかえたまま扉を開くと、生徒会室に入った。







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