副会長の秘密
なんとか場所が取れて、私はぜーはーっと呼吸を整えていると、ファンの子達の黄色い声に負けないくらい
隣から嬉しそうな声が聞こえた。
「ほらっ、亜稀ちゃん見て!こっちに歩いてくるわっ!」
「え………っ!ほんとだ、京甫先輩がいるっ」
ファンの子に手を振りながら歩いてくる佐々原兄弟。
久しぶりに見た光景に思わず、さっきまでの副会長のことなんて忘れてしまって
つい、いつもの様にテンションが上がってしまう。
はあああぁー♡
京甫先輩、やっぱりカッコイイ〜!!
笑顔が最高だよっ!!
相変わらず、佐々原兄弟はイケメンで、2人揃うとカッコ良さが格段に違う気がする。
ファンの子達と同じくらいに私とみなちゃんは、キャッキャと喜んでいると、急にみなちゃんが私の袖をクイッと引っ張った。
「亜稀ちゃん亜稀ちゃんっ」
「…ん?どうしたの、みなちゃん?」
「ふふっ…亜稀ちゃんの笑顔久しぶりに見たなぁって思って♪
さっきまで少し元気がなかったから、元気になって良かったっ」
って、ニコリと微笑んでそれだけ言うと、みなちゃんはまたアオイくんの方に視線を戻した。
いきなりで、それもそんなことを言われるなんて思っても見なかったから、ぷはっ!と笑ってしまう。
「…っ!みなちゃんありがとう!京甫先輩が見れて元気出たよっ」
だって、もしみなちゃんに言われなかったらそんなこと気づかなかったもん。
うん、よしっ!やる気出てきたっ!
この3日間、みなちゃんを副会長から守らなくちゃね!
そんなみなちゃんの横顔を見ながら、私は改め
て気を引き締めた。