副会長の秘密
う、うわああああああぁ。
みなちゃん、放心状態っ!
「み…みなちゃん、大丈夫っ!?」
「う…うん、大丈夫…」
一応声をかけてみるけど、みなちゃんの顔を見ればはっきりと分かる。
こ、これは………、めっちゃ照れてる、よね。
マジ照れですよね…。
みなちゃんは本気で照れてしまうと、熱が出たみたいにぼーっとしてしまって、人の話が分からなくなったり、倒れてしまったり、
酷いときには、寝込むときがあるくらい、照れるととても厄介な体質を持っているのだ。
ああ、もう、これから副会長と一緒の班なのに大丈夫かなあああぁ(泣)
「ううっ…みなちゃーん、しつかりしてええぇ」
そんな私の焦っている様子とみなちゃんの様子を交互に見ながら、クスッと副会長は笑った。
「ありゃ、大丈夫??ごめんね、なんか困らせちゃって………。そっちの子も」
「あ…いえ、大丈夫です(涙)」
「あ、そういえば
……えーっと、まだそっちの子の名前聞いてなかったね…君の名前は?」
「っ、……水野亜稀です」
私の方を向くと、さも面白そうに笑顔で聞いてくる副会長にキッと一瞬睨み付けると、すぐに笑顔を作った。
だって、一応隣にはみなちゃんがいるし……
副会長に話しかけられた時点で、ファンの子の目線がさっきからずっと痛いくらいに見えるから。
ちらっと向こうの方に目を向けて、突き刺さるような痛い目線を確認し小さくため息を付いた。
だから、調子に乗るなよ!っという意味を込めて私なりに引きつりながら精一杯の笑顔を作ったのに……!
一瞬、驚いた様に副会長は目をパチパチさせたあと、またニコリと笑顔を作った。
「ふーん、水野亜稀って言うんだ…、じゃあ…亜稀ちゃんって呼んでいいかな?」
あ、亜稀ちゃん!!?
いやいやいやいや!!
なぜ下の名前で呼んじゃうの!?
「ふ…副会長がお好きなように呼んでください。私は構いませんので」
「…そっ?じゃあ、………亜稀ちゃんって呼ばせて貰うね!
それじゃあ、南ちゃん、これから3日間よろしくね!
集まる前に挨拶できて良かったよ♪」
なんだかよく分からない方向に進んじゃったけど、私の方をチラリと見てから、みなちゃんの顔を見て手を振ると
グットタイミングで京甫先輩に『早く来い』と呼ばれ走っていった。