副会長の秘密
1班と言えば確かみなちゃんの班だ。
メンバーは、ふんふん…1年生が多いのかあー。
これだったら、大丈夫なのかもしれないけど、問題は……。
班ごとにぞろぞろと私達の目の前を通っていく中、私は副会長に目を向けた。
よしっ、副会長は一番後ろを歩いている。
みなちゃんはーっと、…いたいたっ!
副会長のいる場所を確認して、すぐさま、みなちゃんを見つけると、私は立ち上がってみなちゃんの所まで走っていった。
「っ…み、みなちゃん!何かあったら携帯に連絡してね!絶対行くから、もちろん夜でもいいから!!」
「ふふふっ。うん、ありがとう!また、メールするね亜稀ちゃんっ」
そう言って、みなちゃんはニコリと微笑むとバスの方に歩いていった。
さっきよりは落ち着いていたから、大丈夫かなってふうっと一安心していると、
「水野ちゃん…じゃーまっ」
と、どこかで聞いたことがある低い声が目の前から聞こえた。
思わずビクッと身体を震わす私。
この、この声は………………。
恐る恐る前を向くと、目の前には私の顔を覗き込みながら、ニコッと笑う副会長が立っていた。
ぎゃあ!
副会長!!
「何ぼーっとしてるの?水野ちゃんは確か5班だよね」
「ああっ、えっと…そうなんですけどっ…!少し友達に用事があって話してて………
すみませんっ、もう戻りますから」
これ以上副会長と関わったら、ファンの子達に目をつけられてしまう。
いや、もう遅いのかもしれないけど……。
すぐにペコリと頭を下げる私に、ふーんとでも言うような顔で眺めている副会長。
「…な、何ですか」
「いやー、何でもないよ?」
ニコッと笑っている副会長。
そんな笑顔さえも、何か嫌な予感がしてならない。
そんなことを思いながら、身構えている私を他所に、副会長は再び身体を折り曲げ、何を思ったのか顔を近づけてきた。
「じゃ、そろそろ行こうかな。
……あ!そうだ『亜稀ちゃん』に言い忘れてたけど」
そう言って笑うと、副会長は私の耳元に顔を近づけて、ボソリと囁いた。
「…………お友達の南ちゃん、可愛いね♪
ひょっとしたら手ぇ出しちゃうかもしんないなぁー」
…………は!?
ちょっ、どういうことっ!?
言っている意味が分からなくて、へ?という顔をしてみるが、副会長はそれ以上は何も言わず、
クスリと不敵な笑みを浮かべ私から離れるとじゃーね、と言って歩いていった。