副会長の秘密
オリエンテーション合宿♢1日目
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最後の最後に、爆弾発言をした副会長。
『…ひょっとしたら手ぇ出しちゃうかも』
あれからずっと、副会長の意味深な言葉が何度も頭の中に流れて、もはや私は山登りどころじゃなかった。
手ぇ出すってどういうこと!!!?
みなちゃん泣かせるようなことしたら、本当に許さない!!!!!
「…うぬぬぬ。ど、どうすれば……」
頭を抱え込んだまま呟く私。
出来れば、山登りだけに集中したいんだけど、やっぱりあの言葉が気になってしまって、どうしても考えこんでしまう。
あああああぁ!
どうすればいいのかなああぁ。
うんぬんと考えている私を、さっきから心配そうに見つめる山瀬くん。
それも、そのはず……だって、
今歩いているのは山の中だから。
キャンプ場から出発して1時間。
背の高い木が周りにあるせいか、陽射しが指すことはなく、空気はヒンヤリとしていて涼しいくらいの温度。
小さな石がゴロゴロと転がっている山道をひたすら歩いているんだけど、足場も悪くて
班のメンバーが登るのに苦戦している中、私は班の1番後ろをとぼとぼと歩いていた。
「あー!空気が美味しいっ!」
そんな中、私の2歩先を歩く山瀬くんは嬉しそうな顔で深呼吸をしていて、
「ほらっ、水野もやってみっ」
そう言いながら、すーはーっ、と大げさに深呼吸をする。
こんな大げさに話しかけてくれるのは、私が考え込んでいるせいでもあって。
さっきから、考え込んでいる私が心配なのか、いつの間にか班の一番後ろを一緒に歩いてくれて、ちょこちょことこんな風に話しかけてくれる。
山登りで、しかも他の子達と交流が計れる!っていう機会があんまりないから申しわけなくて、
試しに「前の方に行って話してきてもいいよ」って言ってみたんだけど、
「んー、まあ3日もあるしー、水野と話したいから」と言って、山瀬くんは私の2歩先から離れることはなかった。
そんな山瀬くんの些細な優しさが、なんだか嬉しくて…。
「…山瀬くん、ありがとう」
「ん?何がー」
「なんか、山瀬くん見て元気でた」
「ふーん、そっか!…じゃ、良かった!」
そう言って、ニカッといつもの笑顔を向けてくれる。
そんな山瀬くんの笑顔に私もニコリと笑顔を返した。
だって、山瀬くんにはこれ以上迷惑かけちゃ駄目だし、せっかくの山登りだもんね!
…うん、そうだよ!
考えても仕方がないよねっ
どうせ、副会長は私をからかってるだけなんだし!!
嬉しそうに歩いている山瀬くんに、本当にありがとうっともう一度お礼を言うと
私は山瀬くんの隣まで追いつくように早歩きをした。