副会長の秘密
あれから、
歩き始めて2時間が経った。
「…三山[ミヤマ]さーん!そろそろ、休みませんかー」
「三山先輩ー!私も、もう足が限界ですぅ…」
そう言って前を歩いていた3年の先輩と1年の女子生徒が座り込んだ。
そう言うのも無理はないと思う。
だって、あれから歩き始めて2時間経つのに休憩が1回もないまま歩き続けているから。
正直、私もそろそろ休憩したくて、目の前の班長である三山先輩に目を向けた。
呼ばれた三山先輩は、先頭で歩いていた足を止め、くるりと振り返る。
普段は腰くらいの長さの髪をおろしているから、一つに束ねている先輩は、いつもより色気が半端なくて……。
見つめていた私でさえ、つい、ほう…と甘いため息をついてしまう。
だって、綺麗すぎなんだもん…三山先輩。
三山愛実(ミヤマメグミ)さん。
生徒会の会計をやっていて、学園では知らない人はいないくらい、美人で有名な人。まあ、ある意味で有名なところもあるんだけど。
とにかく!
髪は黒髪で、腰の長さまであって、
すらりとした身長に、肌が白く、目がぱっちりとしていて、モデルさんのような綺麗な顔をしている。
こちらを向いた三山先輩は、座り込んでしまった2人と周りを見渡すと静かに口を開いた。
「…ふーん、君達そんなに疲れたの?はあ…しょうがないなぁ、頑張ったし休憩してもいいよ♪
…………なーんて、言うとでも思ったかああああぁ!!貴様らああぁっ」
ああぁ、やっぱり…………。
三山先輩は楽しそうに、顔にも似合わない「ふははははっ!」という笑い声をあげて笑っている。
ああぁっ、せっかくの美人さんがあぁ!
と思ってる人もいるかも知れないけれど、これが残念ながら三山愛実さんで、
まあ、世間一般でいう…いわゆる残念な美人さんなのだ。
…あ、これが、別な意味で学園で有名な理由の1つなんだけどね。