副会長の秘密
「ほらっ、立て山本っ!休めなんて一言も言ってないぞ!?」
「いや…山本じゃなくて、川野です…っていうか、一緒のクラスじゃないですかあぁー!三山さあぁん!!」
「ああ?そんなのどーでもいいんだよ!それより立て!川崎!!」
「うわっ、近いっ!近いんだけども、残念ながら違う!俺の名前はさっきも言ったけど川野だっ!!」
そんな川野先輩と三山先輩のやり取りを見ながら、あははと笑う私と山瀬くん。
先輩のことをみなちゃんから聞いたことがあったから、きっと、休憩は取らないんだろうなぁって思ってたけど、
それなりに、先輩のお陰で疲れが吹っ飛んだのも紛れもなく本当で…。
改めて、先輩はすごいなぁって思った。
そんなやり取りが終わって、三山先輩は川野先輩を立たせた後、
座り込んでしまった1年の女子生徒の方に歩いていった。
「は…浜崎は、ほらっ私が手を引いてやるから、頂上まで頑張れっ!な?」
ふわっと笑いかけながら手を差し出す三山先輩に、はいっ!と言って手を握る浜崎ちゃん。
「…よしっ。じゃあ、そろそろ行くぞっ!
頂上まで行ったらたっぷりと休憩してやるから、皆頑張ろう!」
そう言って、1年の浜崎ちゃんを先頭に連れていき再び歩きだした。
「よしっ、水野。頂上まで頑張るかっ!」
「うん!そうだね」
よいしょっと、リュックを再び持ち上げる私にほらっ!…とでも言うように笑顔で手をさしのべてくれた山瀬くん。
「…ありがとうっ、山瀬くん」
「おうっ」
そして、私達は再び頂上を目指して足を進めたのだった。