副会長の秘密
……モグモグ。
箸を持ってニコニコしている山瀬くん。
いやいや、餌を待ってる犬にしか見えないよ、山瀬くん!
卵焼きを食べながら、密かにツッコミを入れる私だけど、……不覚にも山瀬くんの笑顔に思わずドキリとしてしまう。
野球部に入っている山瀬くんは、話しやすいし運動神経も良いから、そこそこ女の子にも人気があって、こう……
副会長とは違って、笑うと少しギャップがある、ニカッと可愛い笑顔をする。
まあ、いつも一緒にみなちゃんと話しているせいで、そんなこと全然分からなかったけど、
今ので……少し分かった気がした。
こんな可愛い笑顔を向けられたら…………いくら私でもヤバイってこと。
うはああぁー!
これが胸キュンっ!!
きっと、普段とのギャップが良いんだよねー!
なんてことを考えている私を他所に、何を思ったのか
「……どう?美味しい??」
なんて聞いてきた山瀬くん。
美味しいって聞かれても………
大好きな卵焼きなんだから…
「…うん、すっごく美味しいよ」
山瀬くんの卵焼きは、甘党で味付けされている私の卵焼きとやっぱり違ってて。
さっぱりとした塩味だった。
笑顔でそう言うと、
「はははっ!そりゃ、良かった」
と言って安心したように山瀬くんは笑った。
その後私は、山瀬くんの隣で休憩をしたあと、お手洗いに行くため「先にいくね」と告げて席を立った。
お手洗いがある場所は確か、午前中登った道のとこにあったけ……
私はさっき通ったばかりの山道に入っていった。
頂上とは違って、大きな木に囲まれているから少し薄暗くて、そのため気温がぐんと下がって
ひんやりとした空気が漂っていた。
肌寒さを感じながらも、小さな石がゴロゴロと転がっている道をひたすら下りていき10分、
小さなログハウスが見えた。
お!
あったあった!
私の目線の先には、本格的に作られている小さなログハウスがあった。
うん、さすがお金持ちの学校だよね!
もはや、トイレじゃなくて……家なんだもん。