片想


出逢った日から彼の言葉や態度はアタシの傷を抉る。

平気で傷を抉る。


大嫌い。
あんなひと。

でも―――。



アタシは言葉を返すことなく黙ったまま宮垣くんに背を向ける。


同時に彼はアタシの腕を掴む。

「おい、待てよ」


「いやっ!
離してっ!」

アタシは持っていた傘を放り投げ、
掴まれている手を引き離す。

そしてそのまま逃げるように走り去った。


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