片想

宮垣くん?

その名前を聞いた瞬間自分の表情がこわばるのがわかった。


あ、ダメだ。

和水チーフが気にしてしまうから。


「…えっと…どうして…?」


「彼はなかなか優秀でね、
会社がすすめる資格をいろいろ持ってるし。
いろんなこと教わるのもいいんじゃないかな」

やさしい、笑顔。


「…そうなんですか…」

でもアタシはうつむきがちに答える。


…履いているオフィスサンダルが目に付いた。

アタシは会社に着いてロッカー室で履いてきたヒールをいつも黒のオフィスサンダルに履き替えている。

動きやすいように。
足が疲れないように。



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