片想
でも
なんだか少しくたびれてきてるみたい。
新しいの、
買い換えたほうがいいかな。
「…さん?」
あっ。
「薬師さん?」
呼ばれた声に顔をあげる。
「す、すみません…」
「とりあえずちゃんと受験のこと、
考えてみたら?
協力できること、
何でも言ってくれて構わないから」
こうしていつも気にかけてくれ、
助けてくれる。
「はい、ありがとう…
ございます」
でもそれをアタシだけに向けてくれたら…。
そんなこと、考える。
消え入りそうな自分の小さな声、
でも笑顔で彼はうなずき
そして背を向けて自分の席へと戻る。
アタシのさっきの小さな返事は彼に届いたのだろうか、
そんなこと考えながら彼の背中をいつまでも見つめていた。