片想
今アタシが掴んでいる手すり。
それが、
そんなものが、
ちょっとの生と死の境界線。
いつかの新幹線の中で見た自分の血。
死んだら会えなくなってしまうから、
なんて思ってたくせに。
そして氷室さんに言われた…。
『薬師サン、
死ンデシマイタイナーッテ思ッタコトアリマスカ?』
あのとき死んだらおしまいだから、
そう彼女に言ってたくせに。
アタシのほうがずっと…。
油断したらいつでも死に近いところにいるような気がする。
信号が青に変わり再び車が動き出す。
思わずその動きに吸い込まれそうになる。
「……!!!」