片想

「そのときの俺は…」


もう、これ以上…、
言わなくて、いい。


「…もういい…。
もう、いいから」


きっと彼は今も傷ついているのだ。

長い時間がたって、
今もまだ。


ふたりが過ごした傷だらけの時間が長いほどに。

そう、
受けたこころの傷はいつまでも癒えることはないのだろう。


いつまでも燻って。

そのときの情景を思い出せば。



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