片想

『コンニチハ、氷室サン。
今日ハ、早インデスネ』

アタシは渡されたホワイトボードに返事を書いて見せる。


『1本早イバスニ乗ルコトガ、
デキタカラ』

そう答えた氷室さんはいつもの笑顔。


彼女はアタシと同い年、
氷室 ミオ(ヒムロミオ)。


アタシのやっているボランティアは要約筆記と呼ばれるもの。

耳の不自由なひとは手話を使うというイメージが強いけれど中には手話のわからないひともいる。


特に病気や怪我などで中途失聴になったひとや難聴者だと手話がわからないひとのほうがほとんどだ。


そんなひとのために手書きやパソコンで言葉を伝える、
それが要約筆記。




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