片想
「音が聴こえないのなら、
周りにそう思わせないようにすればいい。
逃げないで努力しなさいって言われて読話をマスターしようと決めて頑張ったんだ」
なんとなく氷室さんをそう叱咤激励する彼女の姿が浮かぶ。
「薬師さんにも読話のこと、
内緒にしててごめんね。
でも今日、こうして話できることすごく嬉しい」
「うん…」
逃げてないで、か。
アタシも逃げてばっかだったな。
「おばあちゃんのお葬式なのに笑ってって変だよね。
でもおばあちゃんは哀しいときほど笑ってなさいって言ってたから」
やっぱり彼女はひまわりのようなひとだ。
そう思った。