片想

一瞬表情が変わったアタシを彼女は見逃さなかった。

そして
静かに微笑んで続けた。

「不幸なんてね、
ひとそれぞれ。
みんな何かしら辛いことを抱えて生きてるの。
でもそれはすべてかたちもなにもかも違う。
それを他人と比べて自分は不幸だ、
なんて考えは変だと思わない?」


「そう…ですね…」


「ダメなのは自分が世界中で一番の不幸だと思い込むこと。
だいたい思いもかたちも違うのに比べることなんてできやしない。
それにそんなことしてたらせっかく近くにあるはずの幸せも見逃してしまって
わからなくなってしまう」


そう言う彼女にアタシは何も言えなかった。

何も返せなかった。


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