片想

でも確か和水チーフは向こうから二番目のコーナーでって言ってたのに。

アタシは横目で今の自分の場所が正しいか確かめる。


…間違ってない。


「あの、
スミマセン…」

アタシはその席に座って書類を眺めていた男性に声をかける。

やっと彼はアタシに気づいたようで顔をあげる。


そのひとは席を立ってアタシに頭を下げる。

アタシも慌てて頭を下げる。


「スミマセン、あの…、
失礼ですが…?」


彼は首から提げているIDカードを見せながら

「宮垣 ヒロトです」
 
そう言って笑った。


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