Girls Kissシリーズ・タラシとのキス
「ふざけないでって言ったでしょう?」

思わず涙まで出てきてしまう。

なのに彼女は笑うだけ。

「うん、やっぱりこっちの方が良い」

「はあっ!?」

「愛だの恋だのぬるい感情よりも、強く感じる負の言葉や態度の方が良いと言っているんだよ」

「アンタって…本当にマゾなの?」

「キミだけに、ね」

肩を竦め、彼女は微笑む。

…片方の頬が、痛々しく腫れてきた。

ジンジンと痛むのは、アタシの手も同じ。

アタシは彼女を叩いた方の手で、今度は優しく赤くなった頬に触れた。

「…アンタのことはキライだけど、顔は好きよ」

「それはどうも」

彼女はまるで猫がすり寄るように、手に頬を付けてくる。

「アンタは…いろんなコと付き合っているけど、本気で好きになったことはあるの?」

「さぁね、忘れてしまったよ。ああ、でも今は自分を嫌っているコが身近にいてくれるから、何だか安心するんだ」

「何で安心なんかするのよ?」
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