brain core
「吸血鬼」
逆さに変える事さえもできない下弦の刻
人間の世界に行くことってそんなにいけないこと?
皐月(さつき)の目の前に輝く広い街の灯りが広がっていた。
「皐月!」
「……?なんだ蓮か……」
「また怒られるぞ。またここに来てんのか」
溜め息をついて地図を見ているのは幼なじみの蓮だ。
ここは大阪。
一番最初に人間の世界にきた時に降り立った所だ。
「?皐月?」
立ち上がった皐月に蓮はどこへ行くんだと言うが皐月の指は下を差していた。
「まさか……やめとけよ。今どうなってるか知ってんのかよ!!」
「そういえば、事件起きてるんだっけ?」
「ああ。行って正体でもバレた時には皐月のせいにされるぞ?」
「え、それはないでしょ?ほらこれ捕まったって新聞で」
皐月は持って丸めていた新聞を蓮に見せた。
蓮はそれを奪い取って読む。
「……それはそうだけど……って……いない」
蓮の前にいた皐月はもういなくなっていた。
「ったく……どうなってもしらねぇぞ」