私の純愛〜辻が花の魔法〜

「鍵無くしたとか…殺されるよ、マジで…」

あたしは呟いた。

「鍵が何だって??響鼓。」

聞き慣れた声に、背筋が凍る。

視界の端に、紫色の着物を着た人物が映る。

「あんた、まさか…また家の鍵、無くしたんやあるまいねぇ…??」

「母ちゃんごめん…その…まさか…」

「…こンの…大馬鹿者がっっ!!鍵作り直すのに、いくら掛かると思ってんのや!!」

この賭場の姐さんみたいな人が、あたしの母親。

松岡 たまき、38歳。

艶やかな黒髪に、切れ長の目。真っ赤な口紅がよく似合う人。

まさに『任侠道』その姐さんみたいな…

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