ボクらが衣替えをしないワケ【短編】
「最終日までだろ。覚えてるって」

本物は忘れていたけどそんな事はオクビにも出さない。

ちなみに『オクビ』がいわゆるゲップの事だとは最近知った。あくびの親戚扱いらしい。

「うそばっかり。その顔は衣替え自体を忘れてた顔だね」

胸もないが背も低い彼女がアゴをあげてツンとした表情をするとちっちゃい子がお姉さんぶっているようで何だか可愛い。

「バレたか。でもまあ結果オーライって事で」

「まあいいけどね」


そんなこんなで一応ボクも意図して夏服で水曜日までを過ごした。

状況が変わったのは水曜日の夜だった。

水曜日の夜半頃から木曜日にかけて雨が降り続いたのだ。

この雨が一気に季節を夏から秋へと動かしてしまった。
< 3 / 9 >

この作品をシェア

pagetop