くれいじーらぶ◆ヴァンパイア少女に詰め寄る貧血少年
そして校門を出た紗依くんは、当然のように
「持つよ」
とあたしの鞄を取り上げた。
ちょっ
「ちょっと紗依くん!
体調悪いんじゃなかったの?」
「違うよ。気分が悪かったんだ」
あたしの問いかけを言い直す紗依くん。
「吐きそうだった」
何が違うのよ?
「だったら鞄なんて持たなくても……」
あたしが鞄に手を伸ばすと紗依くんが取れないように後ろによけた。
「君が言い寄って来た男について行こうとした時点で気分が悪くて吐きそうになったよ」
鞄を背中に隠したまま、至近距離で紗依くんは冷たい声を出した。
……え?
紗依くんは何故かイライラを抑えきれない様子であたしを忌々しげに見ている。
しかしあたしの中でもふつふつと怒りが煮えたぎってきた。