くれいじーらぶ◆ヴァンパイア少女に詰め寄る貧血少年



教会に入ると途端に体が重く感じる。



生ぬるい空気が絡みついてくるような感じ。



「……ふぅ」


思わず息をつくと



「大丈夫?辛い?」


紗依くんが気遣ってくれる。



「……少し」



教会のシンボル、あの男の像があたしを見下ろしている。


高い造りの厳かな天井も、ステンドグラスを通して入ってくるカラフルな光も……、全てが不快。




「紗依くんなんて……嫌いよ」



体の辛さから思わず弱音を吐いた。


「紅愛……」



「あたしの事を振り回しておいて、結局裏切るし……大嫌い」


我慢していた涙がポロポロと落ちて教会の床を濡らした。



「俺は君が好きだよ」


< 52 / 68 >

この作品をシェア

pagetop