千年樹
「あのっ…、あの。ちょっとお話ししたいことがあるんですけど、宜しいでしょうか」



女の子は凛とした口調で、言う。
その目には何かの決意が見て取れた。




「春…。行ってやれよ」



その声に友人何かを感じ取ったのか俺の腕を掴んでいた手を離した。
離された腕に残るのは、友人のほんのりとした温かさ。



「すみません」



女の子は謝るもののそれでも、俺を見詰めるのをやめない。




「…………わかった」



「っ。ありがとうございます」


渋々といった感じで返事をする俺に、女の子は震える声でお礼を言い、頭を下げる。



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