千年樹
「いや、別に…」
「いえ、ありがとうございます」
「おいおいー。俺を置いてくなよー」
「「あ…」」
「え? ふたりして言うの? えー。酷いっ。まあいいや。春、じゃあなー、お邪魔虫は退散しますよ」
「悪いな」
「すみません」
友人はヒラヒラと手を振って、皆の所に戻って行った。
あいつ、本当に馬鹿だな。
本気で気になっていたくせに…。
「春さん」
「っ…」
「ちょっと、来ていただけますか?」
「あぁ」
ありがとうございますと言って先に歩きだす、女の子の後を俺は無言で付いていく。