千年樹



その異変に気がついたのは、高校に入学してからのことだった――…。








「春ー! 何ぼけっとしてんだよ」


バシッと俺の頭を叩く友人達。
それなりに、人付き合いはそつなくこなせていたとおもう。


勉強だってスポーツだってそうだ。



けれど日に日に何かが足りなくなっていく。
何が足りないのかが、よくわからない。



だから俺は深く考えないようにしていた。



考えないように、思考の奥底に沈めていた。




けれど、それも長くは持たなかった。




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