千年樹

その声は何時までも耳朶に残った。

だが時間が経つにつれて、忘れていった。



それからと言うもの、何も起こらない。
だから忘れていたんだ。


あの声のことも、何もかも――…。




「………お前、大丈夫か?」



「何がだよ……」



「何がって…」



「………」



「そうか! 彼女がいないんだな! もうすぐクリスマスだもんなー、よし。春の為に合コンでも開くかー!」



「おい! 何言ってんだよ」



友人(ゆうと)は携帯を片手にニコニコしながら言った。



「それ、お前が行きたいだけだろうが……」



俺の隣で話し込む友人に小さく反論をする。





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