泣かない家族
叔父や叔母はたまにお見舞いに来て早々に帰って行った。
叔父は涙ぐむし、一番下の叔母は子供つまり従妹をいつも連れてきていてさっさと帰る。
叔父の子供は小学生で病室でも騒ぐからうるさかった。
叔母の子供は大学生でお見舞いに来ても手持ち無沙汰でつまらなそうだった。
「あ、2時間もいる」
時計を見てさっさと帰る。
旭川の叔母は10分だけ顔を出して、たまたまお見舞いの人がいからすぐに帰ってしまった。
母のすぐ下の叔母は最初はずっと世話をしてくれていたけど、持病がある人だから体調を崩して来なくなった。来れなくなったというべきか。
母の妹弟はあたしから見て冷たいと思った。
母と血の繋がりがあるとは思えなかった。
だって母ならお見舞いにこんなに来ないなんて事はない。
心底心配して毎日せっせと顔を出す人だ。
衰弱する姿を見たくなかったんだろうとは思う。
あたし達も家族だけど、あの人達も母の「家族」だから。
逃げて目を背けれる人はいい。
でもあたし達は背ける事も泣く事も出来ない。