泣かない家族

余命宣告


11月になった。


眠る事の多くなった母と増えていく千羽鶴。


あたしは父にお願いをした。


「病院から直接話しを聞きたい」と。


ちょうど先生と話をする機会があって、その時に今までの流れを知らないあたしも同席させてくれると言った。



病院と話をする日。


母には「先生にまだ治療出来ないの?って聞いてくる」と言って、診察室に父、兄、あたしが入った。


母をここへ移動させた医者と優しそうな看護士がいた。


「娘は今までの病状の変化と経緯を知らないので説明して下さい」


父が医者に言った。


医者が頷いて病状の説明を始めた。


母の身体を蝕むガンはすごく悪性で浸食のスピードが早い事、


そしてまだ60歳の若さだから進行が早い事、


転移は肝臓にしたと判断される事、


手術は母の体力とお腹全体に広がったガン細胞のせいで出来ない事、


手の施しようがないという事実。

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