泣かない家族
面会時間が終わって、母が眠ってから実家で3人で話をした。
あたしは看護士と話した「お母さんを家にもう一度帰したい」という事を言った。
「お前、それはお母さんの命が・・・」
やっぱり2人共難色を示した。
「医学的な話じゃない。精神論の話だよ。帰ってきてまた帰れるように頑張る可能性は充分にあるとあたしは思う。リスクはいっぱいある。でも帰さないとあたし達は後悔する。間違ってる?」
話し合いは長く続いて、あたしはひたすら2人を説得した。
「帰る事で余命より長く生きた人もいる」
これは看護士が実際言ってた事だ。
長い話し合いの末、父と兄は折れて承諾した。
「明日にでもお母さんがどのタイミングで家に帰れるか話をしてみる」
父がそう言ってあたしはホッとした。
家に帰してあげたいのはみんな一緒だから。
命を縮めるからそれは出来ないと思っていただけだから。
でも・・・母をもう一度家に帰そう。