泣かない家族
父と兄と付き添いのローテーションを組んだ。
父、兄、あたし。この順番で泊まり込みをする事になった。
「ハル、お前は薬を飲まなきゃいけないから付き添い中も少しでも寝るように」
父に言われて頷いた。
この頃、母は昼間に吸い込まれるに眠って夜はなかなか寝なくなっていた。
寝ると死ぬと思っていて頑なに寝ようとしなかった。
泊まり込みをする人は昼間に仮眠を取って面会時間が終わるギリギリに来る事になって、その間は他の誰かが昼間から面会が終わる8時までいる事になった。
最初のローテーションが始まる時に、母がボソっと呟いた。
「泊まってくれるんだって?嬉しいな夜は不安だから」
「泊まるよー。お母さん暇でしょ?だから交代で泊まるから色んな話しようね」
「ハル、彼氏どうしたの?ずっと会ってないんじゃない?」
「別れたよ。お母さん反対してたじゃん、親が反対する人とはやっぱり上手くいかないね」
まだ別れてはいないけど、母の不安要素は取り除きたかった。