泣かない家族

家に帰る途中スーパーで人参とゴボウを買って家に着いた。


今日は父が付き添いで準備をしていた。


「お前何買ってきたんだ?オレは飯いらないぞ?」


あたしが『きんぴら大会』の話をすると愉快そうに笑った。


「あの人味にはうるさいから全員ダメ出し食らうんじゃないのか?」



「いや、あたしは結構自信あるんだよね。お母さん流は千切りにちゃんと全部切って生のまま炒めるから。あたしそれでしか作った事ないもん」



「まぁ、確かにシャキシャキしてるよな、ウチのきんぴらは。頑張って作れよ」


そう言って下はスウェットのラフな格好で父は病院に向かった。



「さて、それではあたしは作り始めますか。ココロ、あたしが一番お母さんの味に近いと思わない?」


犬のココロに話掛けてもキョトンとした顔をしている。


あたしは手を洗ってゴボウの皮をピューラーで剥き始めた。


それから人参も同じく剥いて、千切りをし始めた。


何度も作っているから間違える事はない。


そういえばすぐ下の叔母を来るから作ってくると言っていた。

6人の中の誰が一番美味しいと言われるんだろう。

久し振りに楽しくなった。
< 149 / 203 >

この作品をシェア

pagetop