泣かない家族
家に帰る途中スーパーで人参とゴボウを買って家に着いた。
今日は父が付き添いで準備をしていた。
「お前何買ってきたんだ?オレは飯いらないぞ?」
あたしが『きんぴら大会』の話をすると愉快そうに笑った。
「あの人味にはうるさいから全員ダメ出し食らうんじゃないのか?」
「いや、あたしは結構自信あるんだよね。お母さん流は千切りにちゃんと全部切って生のまま炒めるから。あたしそれでしか作った事ないもん」
「まぁ、確かにシャキシャキしてるよな、ウチのきんぴらは。頑張って作れよ」
そう言って下はスウェットのラフな格好で父は病院に向かった。
「さて、それではあたしは作り始めますか。ココロ、あたしが一番お母さんの味に近いと思わない?」
犬のココロに話掛けてもキョトンとした顔をしている。
あたしは手を洗ってゴボウの皮をピューラーで剥き始めた。
それから人参も同じく剥いて、千切りをし始めた。
何度も作っているから間違える事はない。
そういえばすぐ下の叔母を来るから作ってくると言っていた。
6人の中の誰が一番美味しいと言われるんだろう。
久し振りに楽しくなった。