泣かない家族
あたしと母は真逆な人間だと思う。
でも願いは同じ。
『普通に生きる事』。
母はよくあたしに言っていた。
「ハル、普通に生きなさい。普通って一番難しいけど普通に」
本当に平凡に生きるって事は難しいと思う。
だって母の死によってあたし達の家族は予期出来ない状況になってしまってこの1年なんて普通なんかとかけ離れていると思う。
これに慣れて普通を取り戻すのに何年かかるのかすらわからない。
父の希望で仕事を辞めて家にいるけど、父はあたしを不憫に思っている。
独身でこんなに若いうちに母親を亡くして、結婚しても里帰り出産したくても、男親しかいないからどうしてあげればいいかわからないという。
友達が自分の子供をおばあちゃん、つまりや親に預けてきたって話を聞くと多少の羨ましさはある。
でも現実にウチにはおばあちゃんはいない。
それは仕方ない事。