泣かない家族
手術
2010年1月4日。
母は明日5日の手術のために北大病院に入院した。
病気知らずというか、よっぽどの事がない限り病院に行かない「病院嫌い」の母の入院で家の中は妙に静まり返っていた。
留守番が苦手な愛犬は悲しそうな顔で真っ暗な家の中でジッと誰かが帰るのを待っていた。
明日の手術はあたしと父が病院にいる事になった。
ちょうどあたしの会社の契約が切れたから落ち着くまでは働かないつもりだった。
この4日まであたしは自分の身に降り掛かる「ある病気」の存在をまだ知らなかった。
(何だか本当に寝れない)
ここずっとあまり睡眠が出来なくて処方されている薬の量が増えた。
明日が手術だと思うと益々眠れない。
温存か全摘か。
同じ女として温存してほしいと願った。
何度も寝返りを打ちながらやっぱり眠れなかった。
仕方ない。
本当はダメな事だけど、家にある睡眠薬を追加して飲んで無理矢理寝る事にした。
最初は身体がダルい感じになったけど、段々ヨロヨロとしてきて気が付いたら眠りに落ちていた。
母は眠れているだろうか?
母の病室には同年代の女性が2人いてもう意気投合していた。
みんなガン患者らしく、でも抗がん剤を打ったのは母が先で2人は髪の毛がちゃんとある人だった。
それでも明るく笑っていたからこの病室でよかったのかもしれない。