泣かない家族
自分が倒れた事で母の手術の具体的な話を聞きそびれていた。
7階の母の病室に行くと、本を読んでいる母がこっちを見た。
「どうしたの?検査は?」
「午後から始まるってさ」
あたしの検査は全身の検査。
不整脈の原因の探るために3週間程度入院して、そのうち2週間は毎日何かしらの検査はする事になる。
母のベッドの前の椅子に座りジッと母を見た。
「何?」
「いや、手術したのに元気だから痛くないのかな?って・・・」
「そりゃ痛いよ、左胸の中ほとんど持ってかれてるし」
母の乳ガンの大きさは3センチ程度。
帯状にリンパ節にも流れていて、ガン細胞は何十個と切除したらしい。
それでもリンパに流れ込んだガン細胞は取りきれていない。
でも抗がん剤は効いたようで多少はガンは小さくなったらしい。
そして通常ならここからホルモン治療、また抗がん剤治療、放射線治療となるけど、母の体質はホルモン治療が出来ない。
この3つのうち1つでも出来ないのは結構困ったものになる。