泣かない家族
「ハル」
「ん?何?」
「ハルもいつのまにか大人になったんだね」
窓の外をぼんやり見ながら呟いた。
「お母さん、転移したのビックリしちゃって何も言えなかったけど、ハルはしっかり質問してくれて冷静だった。あぁこの子も知らないうちに大人になったんだって思ったよ」
「そんな事、質問するのは家族として当たり前だよ。本人はショック受けるもの当たり前だから大人とか関係ないよ」
「大人になったよ。前のハルなら動揺してパニックになっちゃってたもん。ハルは心が弱い子だから今もショック受けてるでしょ?」
「まぁね、でも最悪ではないと思うからショックはそんなに受けてないよ?大丈夫。胆管に管通せば病状変わるって言ってたから」
「一緒に聞いてくれてありがとね」
「何言ってんの?娘だもん。いつでも一緒に話は聞くに決まってるでしょ?」
そんな会話をしていると急いできた様子の父が顔を出した。
「ほら、お父さんきたよ」
あたしは母の肩を軽く叩いた。